なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】
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「どうぞ」
あかりちゃんにそう言われると微妙な気持ちになる。
だって、ここには私が昔住んでいたわけで、勝手知ったるところでもあるわけだ。
あかりちゃんにもプライドがある上での言い方だろうけど、胸の真ん中あたりがくすぐったくなった。
「お、お邪魔しますー」
体を小さくしてあかりちゃんのあとに続く。
萩原さんはタイミング悪く仕事の電話がかかってきたので外で電話をしている。
なんかあったら叫べと言っていたけれど、あかりちゃんもいるし変なことにはならないだろうと思う。
家の中はだいぶ変わっていた。
以前は黒と白基調のシンプルな部屋だったけれど、今ではファンシーになっている。
ベイビーピンクな部屋はあかりちゃんの趣味だろう、それを真が許容したことに驚いた。
以前では考えられないことだったから。
どちらかというと亭主関白的な節があり、自分の言うことは絶対だという人。
ここで鉢合わせした時のように、ベッドルームであかりちゃんと真の小競り合いが始まって、私はそれをキッチンのところで突っ立って聞いている。
だって、勝手に座るわけにもいかないから。