なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】


「近いうちにまた連絡が来ると思うよ」

 そんなことを言われたのは、一緒に食事をしているときのこと。

 あのあと何分もしないうちに追い出されてきた私のことを見て、目を真ん丸にしていた。

 そして、このまま帰るのもなんだから食事でもして行こうという話になって今に至る。
 



 フォークに刺した肉を口に入れようとしたところで手が止まった。



「もう、やめてくださいよ」

「その時は行ってやれ」


 え?


 なんでそんなこと言うの? 

 もう行くなって言ってたのに。



「......肉、落ちるよ」


 はっ! 口開けたままぽけっとしていて、食べるの忘れてた。



 会えってことでしょう?

 さっさとこの問題を片付けろってことなのかな。

 面倒くさいとか思われたのかな。

 ダメな女とか思われたり...


「だから、変なことは考えるなよ」


 お前はそうやってあることないこと考えて、自分一人で落ち込むところがある。

 ポジティブな発想をするならよしとするけど、お前の場合はネガティブな発想をして、それが現実であると思い込むだろう?

 それに飲まれて空回りする。


「おっしゃる通りですー」


 そうです。その通りすぎて何も言えません。



「だから、それは少しずつ変えるようにしていこうな」

「うー...はぎわらさー......ん」

 一人じゃなくて、二人で問題を解決していこうなっていうその優しさに心が癒やされて、

 嬉しくて涙目になって今すぐ抱きつきたい。


「あとでね」

「うーーーー、あうーーー」

 私が何を考えているのかなんて、とっくに読まれてるんだ。

 お腹いっぱいだよ、もう帰ろうよー。



「夜中にお腹すいたって言っても何も無いよ」

「......ちゃんと食べます」


 首を小さく横に振りながら笑うその仕草が好き。

 下を向いて、にって口角上げて笑うその顔が好き。

 ぜんぶ、ぜーんぶ、大好きです。

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