なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】

「......ほんと頭痛い、喉痛い、お腹、痛いよおおお」

 深い溜息をついてシーツを無理矢理ベッドから剥がして身体に巻き付けたその動作すらも遅い。

 力も入らないし、身体もすごくだるい。

 昨夜、何度やったんだろう? 

 この下半身の痛さとだるさはもう何回も経験済み。愛し合った行為のあとの倦怠感だ。

 水...水が飲みたくて周りを見回したがここは寝室のようで、ミニバーなんかあるわけもない。

 ん? 寝室?

 よく見ればこの部屋にはベッドだけ。

 シーツをたくし上げて胸の前で止めて、重たい体にムチを打ち、なんとかドアを両手でそっと開けた。

 温かい空気が足下から入って来て、ドアをゆっくり大きく開けたらそこは開放的なリビングになっていた。
 
 ホテルなんかじゃなくて、まさかの誰かの家?

 心臓がドキドキ鳴って、自己嫌悪に陥る一歩手前で息を飲んだ。
 
 ソファーのところに足が見える。

 まさかの殺人? 私は昨日違う意味でヤッてしまったのか? 

 ついに人を殺めたのか...思い出せないけど。

 息を殺してしばらく脳みそと相談しながら観察すると、ちゃんと寝息が聞こえた。

 よかったと思うも次に沸き上がるのは、誰? っていう疑問。

 誰とそうなったの? 私。

 起きないように慎重に足音を消して近くまで行って顔を覗き込むと、ぜんっぜん知らない男の人が寝ていた。


 うっわーーーーーーー最悪。私、まじで最悪だ。

 ほんと信じらんない! 
 
 何やってんの私は!
 

 新しい年の初めに見ず知らずの人と寝ちゃって、しかもまだ一緒にいるわけだけど。

 穴があったら入りたいくらいに恥ずかしいし、まじで落ちるわ...


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