なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】
まずは、いつでも出れるようにこの部屋の荷物をバックに入れておこうと思ったのはもうそろそろ明日になるって時間。
辞表は明日渡す予定。
今の私の全財産と洋服、(ヨガウェアとジャージしかない)だけで成田空港へ向かおう。そこでのインスピレーションに従って行く国を決めよう。
もう二度と関わりたくないと思っている野々宮さんから住む部屋を借りていること自体が恥ずかしい。
しかし、もう一つ思うのは、あんなにまで嫌っていた私に部屋を貸すなんて、いったいどういう神経をしてるんだろうか。普通じゃない。
自分で自分が嫌になる。だけどこれも今日まで。明日の今ごろはきっと私は飛行機の中にいるはず(チケットさえ取れれば)
電話がテーブルの上で鳴っていて、望んでいる人からの電話じゃないのが分かるから出たくなくて、しばらく眺めていたら、予想通り切れた。
ふっと鼻から息を吐き、片付けに戻ろうとしたところでまた電話が鳴った。
ディスプレイには『野々宮』の文字。
『私からの電話には出なさいよ』
と、言われていたのを思い出した。
「...はぁーー...出たくない」
でも出ないわけにはいかないから、嫌々ながら電話に出た。
「.........ほら、だからもう忘れちゃいなさいよ」
野々宮さんの声なんだけど、それは遠くて、そして私じゃない誰かと話している声で、心臓がドキンとした。