なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】

 すっぴんの私の顔はのっぺりとしている。眉だって無いに等しいし、鼻も低い。目だけはクリっとしているので、日焼けでもして黒くなったら黒人さんの子供みたいなかんじになるだろう。

 テレビで見る黒人さんの子供を白くしたのが言わば私だ。私は無駄に白い。どこにでもいる目立たなくてぱっとしない至って普通の女子だ。

 目の前にいるのは冬山君は笑った顔が子供にしか見えないけど、左目の下にある涙ぼくろがいやに女を引きつける。

 昔からモテる部類に属していた。気取らないところや、人をジャッジしないところも彼の良さのひとつなのかもしれない。

 一緒にいて自然体でいられる相手だ。彼と一晩一緒にいても何も起こらないだろう。そんな風に思える男友達は貴重だ。

 世間では男友達との友情はあり得ないなんて騒がれるけど、私はあると思う。

 例え海外旅行に行ったとしても何も起こらない自信が、彼とならある。男として見ていないとかそういうんじゃなくて...なんていうか、身内のような感じ。

「でだ、夏菜ちゃん何やってたの? この真冬にそんな薄着でいるのは風邪をひかせてくださいって言ってるもんだよ」

「あはは。そう思うよね。実はね、私今ヨガのインストラクターやってるの。スタジオがコンビニの上だから」

「あー、そっかそっかそうなんだ、だからか。で、お正月からヨガやってんの? 休みないの?」

「いや、もちろんお正月は休みなんだけどね、私一人でちょっとやってた。いろいろあってさ」


 丁度そこでサラダが運ばれてきて、食べながら私たちはざざざっと近況報告をしあった。




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