なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】
その後、コンビニでお酒とお菓子を買って、冬山君のところでぱーっと飲むことにした。
二人並んで歩いてみるとけっこう背が高い。スポーツをしているだけあって胸板も厚いし、デニムも似合っていた。
さっぱりしたスポーツマンってかんじの冬山君の隣には、ヨガウェアーで一仕事してきました感たっぷりで色気も何もあったもんじゃない、私。
うん、これは完璧に大丈夫。
やはり何も起こらない自信があるわ。
ひとつ頷いて自分で納得した。
でも、冬山君は男だということに頭において注意しておかなければならない。だって、これでお酒が入ったら......
お酒は私にとって悪魔の水そのもの。
昨日の萩原さんの二の舞になること間違いない。
あ...
萩原さんと言えば...
帰ってきたらフロントから連絡してって言ってたけど、まさか、待ってるなんてことはないよ...ね?
どこまでが本気なのか分からないんだけど、私...
「行こう!」
私の手を取り、恋人つなぎをしてきた冬山君にちょっとびっくりした。
温かいけど、なんか違う...こんなことする人だったっけ?
私が寒そうだから、こんなことしてるのかな?
何かがちょっとおかしいって思うんだけど、このまま彼のアパートに行くべきかどうなのか、ちょっと分からなくなってきたんだけど、その前にちょっと待て。
何回も言ってますが、寒いです。とても寒いです。このままだと私風邪ひきそう。
「コート取ってきていいかな」
ダメだ、無理。寒い。
「あ、そうだね、ごめんごめん。じゃ、ここで待ってるね」
ぱっと放された手を素早く自分の胸の前に持ってくる。
にこやかに微笑む冬山君に軽く手を振り、スタジオへ足早に駆け上った。