なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】
私がスタジオの中に入った時、一台の車がコンビニの前に停められて、中から一人の男性が姿を現わした。
コンビニの前で立っている冬山君を呼んで何かを話した後、冬山君はびっくりして頭をかきながら気まずそうにその場を後にした。のを私が知るのはもう少し先なんだけど。
スーツを着ているその男性がスタジオの階段を上がって来ていることになんて、私は全く気付かなかった。
インストラクター控え室にかけておいたコートを羽織うと幾分寒さも緩和された。
「やっぱあったかいなぁ。ダウンの方があったかいんだけど、お気に入りのダウンは寝室に起きっぱなしなんだよね。ダウンだけは持ってくればよかったかなぁ。そこは失敗したよね」
冬山くんを下で待たせているのでそんなにのんびりしている暇はない。
急いでフロントへ出ると、そこにはここにいないはずの、いや、いてはけないはずの人がドアに寄っかかって腕組みをしていた。
何かをたくらんでるような笑みを浮かべて。
なんでここに? ん? どういうことなの......