なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】
固まる私を意地悪な目で見て鼻で笑い、靴のまま上がってきた。
靴って!
「ちょっと! 土足はやめてください! ここ外じゃないですから!」
私の一言に動きを止め、おまえはどんだけ仕事がすきなの? って、面白そうに肩を揺らして笑った。
でもその後、ちゃんと靴を脱いだ。っていうかそこはまだ土足でも大丈夫な場所だったんだけど...ただの私の早とちりで...
「でだ、お前は彼氏の俺を差し置いて、どこのどいつだかわからないやつとそいつんちに行こうってわけか?」
「は? まさか...会ったんですか?」
「下で。そして帰った」
「えー! なんで帰したですかぁ! これから昔の話でもしようかってことになって......」
「他の男のところで酒でも飲みながら昔話でもしようってわけか? それだけで終わると思う?」
「違いますよ! 冬山君は高校、大学と同じで別にそういう仲じゃないし、それに私は...」
「俺の女。だろ?」
「...やめてくださいよ、その言い方」なんか、やだ。
「じゃ、俺の彼女だろ」
「......」
やっぱりそうなってるんだ。
私にはその記憶はないんだけど、どういうわけか彼のつけている香水は私の体がよーく覚えているようで、すっごい反応してる。
近づいてくる萩原さんに、一秒でも早く近づきたいって心とはうらはらに身体は訴えてくる。
でも敢えて無視。
「冬山君は本当に帰っちゃったんですか?」なんかちょっと悪いことしてる気がする。
「さっきから冬山冬山ってうるさい」
「久しぶりに会ったのに」
「まだ言うか」
本当に久しぶりに会って食事までご馳走してもらったのに、萩原さんはさっさと帰してしまったみたいで、それに対して一切悪びれることもなかった。