なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】

「お前は俺とあいつとどっちといたいわけ?」

 そんなこと...わからないよ。

 冬山君は昔から知っているけど、萩原さんは......

 全くわからない人だ。

「......どうしてこうなっているのかも、分からないので」

「ので?」

「よく...分からないけど、でも...昨夜は泊めていただいたようで...ありがとうございました」

 萩原さんは笑ったかと思うと私の腕を掴み、思い切り自分の懐へと引き寄せた。

 ぎゅっと抱きしめられるこの感覚、うっすらと覚えている。嫌じゃない。


「帰ろう。荷物どこ?」

「帰る? ってどこに?」

「...お前は何もかも忘れるほど酔っ払ってたのか?」

 さて、ここで問題だ。
 この場合私はどういう回答を叩き出せば正解なのか?


「...少しは覚えてる」かも?

「ま、いいや、そのうちに思い出させてやる。荷物は?」

「...」不正解みたい。

「じゃ、俺が持ってくる」

「ちょっと! 関係者以外立ち入り禁止です!」

「関係者だけど?」

 何言ってんの? 何の関係者だっていうわけ?

「本当に何もかも覚えてないんだな」

「いやだからそんなことは」ないと...思いますよ。大きな声では言えないけど。

「俺のことなんにも覚えてないって、そんなこと言う女初めてだよ」

「だから、ちゃんと覚えて...」ます。たぶん。

「俺と一晩過ごしたこと、覚えてる?」

 身体の奥がじゅんと唸った。私の子宮は確実に覚えているらしい。

 だけど、本体の私は全く覚えていない。

 子宮には申し訳ないけれど、何があってどうなったかなんて、一切記憶にない。


 えーと...一晩一緒に過ごしましたっけ? てか、どちらさま? 状態なのは相変わらず変わらない。






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