なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】
ここでは絶対にダメなの!
「ここはダメみたいだな」
「...絶対にここはダメです」
「じゃ、早く帰ろうぜ」
手を引き寄せられて強引にスタジオの外に引っ張り出された。
「あ、カギ!」
ポケットの中からカギを出そうとしたら、鍵穴にカギが差し込まれた。
いや、私が差し込んだんじゃない。ということは残されるのは一人だ。
萩原...さん?
「なんで...カギ持ってるんですか?」
「関係者だって言ったけど」
「どういうことですか?」
「ん? そのうち話してやるよ。お前が俺を思い出したらな。というよりは、既に一回言ったんだけどお前が酔っ払いすぎて全て忘れたって話でもあるけど」
そんな意地悪なこと言ったって、酔っ払ってる時のことなんて、どう頑張ったって思い出せないと思うんですけれども。
「...関係者って?」
「だからそのうち」
そう言うと萩原さんは私の荷物を持ち、反対の手で私の手首を握り、コンビニの前に停めてある自分の車まで半ば強引に私を連行して行く。
そして私はただただ着いて行くしかなかった。
だって、この状況はよく飲み込めないし、どうして萩原さんがここの関係者なのかってことすら、分からないままだから。
萩原さんによると、私はけっこうなことまで聞いていたらしい。酒の力って怖いよね、なーんにも覚えていないんだもん。