なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】
ホテルの部屋は既に綺麗にメイクされていた。
萩原さんはいつの間にか部屋の中に用意したホワイトボードに黒いマジックで『復讐計画その1』と書き始めた。
「いいか、まずは計画その1だ」
「...はい? なんの話ですか?」
「...お前が用意しとけと言ったから、俺はわざわざこれを用意したんだぞ」
「一体なんの話なんだかよく分かりませんけど」
はーーーっと、ひどく大きなため息をひとつつかれた。
よし分かったまずはそこに座れと言われ、私はソファーの上に正座をした。
そして今ままでの経緯をかいつまんで、私の失態はオブラートで柔らかく隠してくれて、肝心なところだけを切り取って話してくれたことに、感謝。
私は昨夜、萩原さんをこのソファーに座らせ、意気揚々と復讐劇の段取りをけっこうな時間をかけて話して聞かせたらしい。
真のことも1から10まで全て話したということだ。
もう、私のことで隠すことなんて何も無い。
私の記憶にない私が発表した段取りはこうだ。
復讐をするにあたり、必要なことがいくつかある。
その1、手放したのは失敗だったと思わせること。つまり...
「これって難しいんじゃないですか?」
「お前の発案」
「でもどうやって?」
「...これをクリアしないことにはその2に行けないな」
「その2って、私なんて言ったんですか?」
「それはその1が終わり次第教えてやる」
また無茶なことを。覚えてないと言ってるのに。
「その前に、お前は住む家が無いだろ? 今日からはここで俺と暮らす」
「...スタジオで寝泊まりしますから大丈夫です!」
きっぱりと断って、ここにはいませんという意思表示を明確にした。