なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】
壁に掛かっている鏡に私の上半身が映っているけど、頭はぼさぼさでしっかりした化粧もしていないし、ジャージだし、綺麗な女にはほど遠い。果てしなく遠い。
身体で払えって言われたときに萩原さんに放った一言に今更後悔した。
こんな女っ気のない女、抱こうなんて思わないよ。
自意識過剰で恥ずかしすぎる勘違いだ。昨日からずっと恥ずかしいことしかしていない気がしてならない。
もしかしたら、こんな女抱く気にもならないから仕事できっちり払ってもらおうってことなのかな? だとしたらちょっとショック。
昨夜は私から押し倒したって言ってたし。ってことは仕方なくやったってこと?
被害者顔してた私って、とんでもない勘違をおかしているんじゃ...
スーツを着ていた萩原さんは確かに格好良かった。これは認める。
こんなジャージを着ている女となんて釣り合わないって思う。
なんせ初めて見たのは全裸の萩原さんなんだから、ギャップが大きすぎる。
静まりかえった部屋の中には、『復讐計画その1』と書かれたホワイトボードが楽しげにそこに立っているように見えた。
「復讐計画その1、やってやろうじゃない」
綺麗になって、女っぷり上げてやろうじゃない!
髪の毛を後ろに一つに束ね、一度きつく結び直す。
腿を手で打って立ち上がり、緊張のほぐれた身体を左右に伸ばして、首をかきかき鳴らして背伸びをした。