なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】
先に乗っていたのは真とあかりちゃん。
あかりちゃんは真っ白いファーがついたコートに茶色いブーツ、髪の毛はふんわりと一つにまとめてサイドを巻いていた。桜の花びらのようなベイビーピンクのリップは可憐だ。
3人の時間がぴたりと止まり、嫌な雰囲気が辺りを取り巻いた。
真はあかりちゃんの肩に手を回し、私の目をしっかりと捉えながら自分の方へ引き寄せた。
エレベーターが開いたままで立ち止まっていた私の背中は後ろの人たちに押され、そのまま中に押し込まれて、
真とあかりちゃんと私の間に買い物帰りの夫婦が一組入ったおかげで隣同士になることは免れたが、後ろに追いやられた真たちは、私の背中に視線を合わせたままっていうのが、すっごい伝わってくる。
どうしてデニムとバレエシューズの散歩着みたいなので来ちゃったんだろう......
手に持っているこのワンピを今すぐここで着たい気分になる。
背中に二人の視線をひしひしと感じるし。
頭の先からつまさきまで舐めまわされている気分にもなる。
1階まで降りるこの時間が地獄。
何時間にも思う。
しかもこういうときに限って各階に止まるし!
って、エレベーターボタンの前にいる子供が各階のボタン、押しちゃってるし!
母親らしき人は携帯の画面に釘付けで子供のことになんか気付いていない。
他の人たちは買い物の話や世間話、お正月ムードも合わさってか誰一人気にする人はいない。