なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】
「さっむ」
ありえないほどに寒いんですけど!
凝りもせずにまたもジャージで来てしまった。いや、ヨガウェアーと言っておこう。
すぐ下だしすぐだからいいやって思うこの考え。
そりゃぁ、汗かいて火照った身体とはいえ外の空気にふれたら瞬間的に熱は奪われていく。
風邪をひく前に用事をすませてさっさと戻ろう。
あ、ついでにレッスン後のおやつプリンも買ってこ。
足早にスタジオの階段を駆け下りると、そこに白いコートが目に入った。
ん? まだいるの?
となりにはこれまた見慣れた黒いコート。
心臓がドクンと音を立てた。すっごい寒かったのに、一気に暑くなった。
階段の途中で止まった私に気がついたのは、背中を向けているあかりちゃんじゃなくて、私に気がついてにやついた、あいつ。
真。
楽しそうに笑って、わざとらしくあかりちゃんを抱き寄せた。
だから、だからさ、一体全体何がしたいんだろう。
むかつくけど、でもなんでこんなことされなきゃなんない? 私なんかしたか? いや、むしろされたのは私の方だと思うんですけど。
鼻から深呼吸。
階段を降りきって、目を合わせないようにコンビニの中に入ろうとした時、「夏菜」と声をかけられた。