なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】
20分ほど待たされ、ようやく喫茶店に来た真は一人じゃなかった。
絶句する私をにたにたとした顔で見ている真に、なんでこんなことをするんだろうかと悲しく思う。だって、仮にも一度は好きになって愛して一緒に住んでいた男だよ。
怒りの前に悲しさがこみ上げてきてもおかしくない。
真の横、仲よさそうに手をつないで喫茶店に入ってきたのは、真っ白いコートに茶色いブーツ、髪の毛をくるくるに巻いて、ふっさふさのつけまつげをしたあかりちゃんだ。
もちろんのことその顔に笑顔は無く、不信いっぱいな顔で私を見ている。
そりゃそうだ、ついこの前『真と私はもう何もありません』宣言をしたのに、どんな形であれこうやって会うってことは当然のごとく、良くは思わないだろう。
「な。言ったろ?」
私を見ながら横にいるあかりちゃんに一言、『な。言ったろ?』って、一体なんの話?
「ちょっと、どういうこと?」
問いただそうと席を立った。
「秋川さん、最低ですね」
「は?」
「信じられません」
「え?」
「こんなことって、本当、ありえません」
「いや、だから何を...真?」
あかりちゃんから視線を真に移し、事の成り行きを説明してもらおうにも、真はといえば楽しそうに私たちを眺めているだけだ。