なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】

「悪い、ごめんごめん、待たせた!」

 力の入らない身体、首に力を無理矢理ねじ込み、声の聞こえた方に顔を向ける。

「あ」

「夏菜ちゃんごめんね、ちょっと仕事の電話入っちゃってさ、遅れた」

「......」


 うん、何言ってるんだかこっちもぜんっぜん分からないし話見えないけど、でも、救世主に見える。本当にありがとう。


「で、こちらがその方々?」

 どの方々? なんの話?

「すみません遅れてしまって。出先に仕事の電話がかかってきてしまってなかなか外せなくて...はは。失礼しました、申し遅れましたが私、冬山と申します。夏菜ちゃんとはずいぶん昔から一緒でして...ん? あれ? もしかしてもう話終わっちゃいました? みなさん帰るところでしょうか」


 突っ立っている私たちを見て、話を変えた。


 すばらしいタイミングで現れた冬山くん、あなたは本当に神様にしか見えません。


 この前は萩原さんが失礼なことをしたというのに、偶然にも居合わせてくれて助け船をだしてくれるなんて、本当に本当に本当になんとお礼を言ったらいいのか分かりません。



「あー、えっとその感じだとまだでした...か? あの、お宅にまだ夏菜ちゃんの荷物置いてありますよね? それをですね、申し訳ないんですがスタジオの方に送って頂くか、もし面倒でしたらこのまま取りに行ってもいいんですけれど...ほら、あの、何かと無いと困るものもありますから。ということをお話したくておよび立てしてしまいました」




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