なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】

「それじゃ今日はこれで。お忙しいところ失礼しました。じゃ、行こうか」

 頷く私の肩に冬山君は優しくコートをかけてくれる。

 そして腕を組むかたちになるように左腕を曲げた彼の腕、その腕に私は素直に自分の腕を滑り込ませた。

 どうぞお先に、と真とあかりちゃんを先に喫茶店から出させるその仕草のひとつさえも余裕の上に成り立っているようにさえ見える。

 冬山くんのペースに引きずり込まれた真は、悔しそうな顔をなんとか隠し、表面上の挨拶なんかして先に出て行った。

 その後を小走りでついていくあかりちゃんを見て、なんだかとても悲しくなった。


 うん。今日は悲しくなることが多い日だ。



「夏菜ちゃん、大丈夫?」

「なんとか」

「どっかでなんか飲んでこうか」

「うん」


 脱力した身体は組んでいる腕と冬山君の力によりなんとか保っている。

 さっきコーヒーを飲んだばかりだけど、どこかで一休みしたい。

 そして、なんでこんなことになったのか、どうして話を合わせることができたのかを聞きたかった。 

                                               
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