なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】
自宅(仮)? へ戻ったのは夜も遅い時間だった。
正確に言えばそこは萩原さんの家のようなもので、ここの他にも家がありそうなんだけども聞けない。いや、聞かないことにしている。
そして、帰るところのない私はあれこれ考えずにここを自宅として思うことにした。
好意と受け止めることに考え方を変える、
努力をしてみる。
引っ越しするお金を貯めるまでと思って。
携帯に着信が数回。そしてメールも来ていたけれど、私としてはそれどころじゃなかったので、あえてスルー。
今のこの私の状況を冬山君は素直に理解してくれて、ここ、ホテルの前まで送ってくれたわけだがしかし、ここから先へ来てもらうわけにはいかない。
「大丈夫だよ。俺、説明するし」
「いや、でもその」
「嫌なの?」
「そういうわけじゃ」
「じゃ、行こう」
手をぐいっと引かれれば、その力に逆らうことは出来ない。
部屋の番号までは言ってない。
そもそも、一緒に行ってどうするの?
説明はたぶん言っても萩原さんの性格上......
ん? 私、何も知らない。
萩原さんのこと、何も知らないんだ...
ふと、横にいる冬山君の横顔を見上げると、口角は上げているもののいたって真面目な顔をしているように見える。
直感だけど、私一人で帰ったほうがいいと思う。冬山君が一緒に行くとこじれていきそうな...
とか思う私は薄情なのかな。
「逆にさ、俺が行かなかったらよけい怪しまれない?」
「え?」
もしかしてそんなことまで考えてくれてたの?