なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】
「ええと、その、只今戻りました」
ぺこりと頭を下げてみた。
うん、この挨拶はなんだかとっても変だと思う。
でも咄嗟に出たことばはこれだった。
冬山君もぽかーんとした顔で見てて、私の視線の先を追い、そこで初めて萩原さんがいることに気付き、小さく「あっ」て声をもらした。
「どうも。うちのがご迷惑かけたみたいで」
!!!!!!!!!!
うちのがって言った?
うちのがって言ったの? 聞き間違いじゃないよね?
ドキッとした。
心臓跳ねたよ。
ちょっと飛び出たかも。
だって、結婚しているわけでもないのにその言い方ってなんか...ドキッとする。
その場に呆然と突っ立って、今のところ働いていない脳にムチを打ってみたりする。
「夏菜、何かあったんだと思うけど、話は後で聞くから。疲れた顔してる。大丈夫か?」
「...は...い」
なんか、調子狂う。
「話とか成り行きとか、俺説明しますけど。夏菜ちゃんとずっと一緒にいましたし、いろいろありましたから。そのためにここまでこうして来ているわけなんで」
「いや、結構。もう時間も遅いですから、あなたにもこれ以上ご迷惑をかけるわけにもいきませんよ」
「冬山です」
「そうでしたか、それは失礼しました冬山さん。遅れましたが、萩原です」
「ええ、一度お会いしていますから」
ビジネスライクな挨拶を交わす二人の話が途切れるまて黙っているつもりだったけど、なんかあまりいい雰囲気とはいえない。
二人ともトゲトゲしているし、この空気は耐え難い。