なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】
今どこに住んでいるのかを聞いてきた店長をなんとかごまかし、かなり怪しんでいたけど、なんて言っていいのか分からないし、言えないし。
話したくないことを無理強いする店長じゃないので、この話はもう二度と聞いてこないと思う。
ってことは、機会をみて私から言わなければならないということだ。
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「遅いね」
優しい口調で言ってる言葉とはうらはらに、帰ってきたそばから黒い雰囲気。
私の腕の中には大きい段ボールがひとつ。
邪魔だし思い出すとイラッとくるから持って帰れとの命令により、段ボールを抱きかかえて帰ってきたわけだが、どっかの会社をクビになった社員に見えないだろう。
「あれ? クビになった?」
やはり言ってはならない一言を言いますか。
「いいえ、ち が い ま す」
おもてなし なかんじで言ってやった。
「あっそ」
興味があるんだか無いんだか、萩原さんはよく分からない人だ。
あのエレベーター事件からしばらく姿をくらましたかと思ったら、今日はいるし。
そしてなんだかこんがりと日焼けをしているような気がするし。
旅行に行ってきたとか?
「その荷物さ、その辺に置いてこっち来なよ。お土産あるから」
やっぱり!!!
旅行だったんだ!
言われた通りにその辺に投げ捨てるように腕の中に居座る段ボールをがしゃりと音を立てて置き、(段ボールは悪くないんだよ、ごめんね。と投げたことを謝る)座れと命されたソファーに素直に座る。
店長に萩原さんにと今日はよく命令される日だ。