なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】
服はある。
お正月のバーゲンで買ったワンピースが一枚、クローゼットの中で眠っている。
薄く化粧もして、マスカラにリップグロスだけオンする。
シンプルでいい。
香水は...いいや。あまり好きじゃないから。
約束の時間まではもうちょい余裕があるから、ミラーでもう一回自分の姿を確認。
うん。大丈夫だと思う。
はぁ。なんだか緊張する。
だって、あれから、あの忘れたい日から今まで一緒に暮らしてはいるものの、たまーに一緒になるくらいで、萩原さんは多忙を極めていて、私はここを出るための貯金とお給料をさっぴかれた分の回収のために朝から晩まで働きづめ。
夜中に帰ってくることの多い萩原さんは、なぜかそのまま私のベッドに潜り込んできて、それが礼儀だ的にいたずらをしてくるけど、(スーツのままとかってときもある)
本当に疲れてるんだろうな、すぐに寝息を立てて寝てしまったり。
そんな萩原さんのスーツを脱がせるのも私で。
なんとなく抱き合って眠るだけで、ただそれだけ。
今ではそれがとても落ち着く。それが普通になってきている。
一人で寝るってことはない。
で、朝は、私の知らないうちに起きて、いつの間にか仕事に行ってしまう。
そういえば、萩原さんてここに帰ってきたときって絶対に私の部屋に直行してくるよねぇ。
バスルームに行ったり、自分の部屋に戻ったりすることってない。
ふふ。
そんなことを考えてたら可愛く思えてきて、思わず笑いが出てきちゃう。