②灰川心霊相談所~『闇行四肢』~
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「――さて、夕浬さん。この『ダルマサマ』の手順ですが、おかしいと思うことはありませんか?」
「……え? おかしいところといわれても……こんな方法考えた奴の頭がオカシイとしか。いかれてますよゼッタイ」
「……君は『身体』は一級品ですが、頭はなかなかの粗悪品ですね」
「その言い方は誤解をまねきます……!」
私は赤面しながら突っ込みをいれる。
第三者に聞かれたらそれこそそのままにとらえられてしまうではないか!
「白条君はどうですか?」
「俺がこの説明書きを見た時に思ったのは、『呪い』にしては自己依存の少ない内容だなって感じたっすね」
「――ほう。君は思いのほか理知的なんですね」
その言葉にむすっとしてしまう自分が少しいじらしい。
仮にも私が助手なのだからと、私は頬を膨らませると、一人そっぽを向いてみせた。
どうせ私は感情的ですよーだ!
「『呪い』とは、そのまま自分が『呪う』からこそ『呪い』なんです」
「……言われてみれば、たしかに自分で呪うというよりは、『ダルマサマ』に頼りきってますね」
そもそも、この『ダルマサマ』というのは何者なのだろうか。
四肢を引きちぎり殺すだけの、『ただそれだけ』の悪魔のような存在なのだろうか?
それとも別の、違う意味と必然性を持つモノなのだろうか?
「……細かな疑問はまだいくつもあるのですが、おおよその本質はこの部分。これは『呪い』とは別種の儀式です」
「……何の儀式なんですか?」
「……それはまた後程。話しているうちに着いてしまいました」
着いた? どこに?
「行きますよ、ついてきてください」
見上げた私の視界に飛び込んできたのは意外すぎる建物だった。
これには、白条君も呆然としている。
――新宿警察署。
こんなところに一体なんの用があるというのだろう……。