未来へ
────────────20XX年
第八一六条 日本科学保護法 
が出来た。
しかしこの法律には裏があった。

日本国民に科学を進めてはいけない、政府はそう公表した。たがその法律を定めた政治家達は怖かった。
いくら科学力を止めても他国が襲って来ないという保証がない。
だから政府はこの法律に裏を付けた。
ごく一部の人間だけが
知っている。

その内容は、

科学力を高める



簡単だった。

この裏の法律を取り締まる政府の体制も厳しかった。



────────────

(そして俺は裏の関係者……)
[コンコン]
「はい…」
「お迎えに参りました。」
ドアを開けると、男と同僚の京極が立っていた。

「社長がお待ちです。」
男は歩きだす。
「元気だったか?」
京極は悠志よりも三つ歳上のニ十二歳で先輩だ。
「えぇ。おかげさまで…」「そうか〜オレも元気だった。」
そういって京極は満足そうにうなずく。
京極はいろんな意味で抜けてる人間だった。
「先輩も、相変わらずで。」
「おぉ。まぁな。」
京極は、はにかむ。

「申し訳ないのですが、ここからは私語は慎んで下さい。」
男は、軽く振り返って
言うとスピードを落さないように歩いて言った。
「相変わらず、かたいな。ここは…」
京極はいまだに笑いながらつぶやいた。
ふざけているのか、真面目なのか…
悠志は、京極が苦手だった。
それから歩いて15分。
やっと突き当たりの壁が見えてきた。
その壁の手元にあったボタンを押す。すると壁の中から小さな画面がでてきた。
「一人一人順番に画面を覗いて下さい。そうすれば必ず鍵が開きます。絶対に二人同時に覗かないで下さい。もし、二人同時に覗いた場合、警報が鳴ります。不法侵入で捕まることもあるのでお気をつけ下さい。では。」
男は一礼するとかなりの速さで帰って行った。

「じゃあオレが先な。」
京極はヘラヘラしながら
部屋の中へ入っていった。悠志も京極の後に続いて中に入る。
部屋の中には、悠志達を抜かして五人の女と六人の男がいた。
人それぞれ思い思いの事を話している。
[ガチャリ]
「皆揃ったかな?」




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