「記憶」




---------
---------------
-----------------------




「なぁ、ミラナ」

「ん?」




剣の手入れをしていると、

後ろで馬の世話をしている

レヴェルに声をかけられた。




「お前、本当に戦士になるのかよ?」

「なによ、今更。これでも私、
トップ5の実力者だよ?」

「いや、そうなんだけどさ…なんつーか…」

「レヴェルは心配なんだよ。
…まぁ、僕も心配なんだけどね」




レヴェルが口籠っていると、

私の前に座るロイがにこりと笑って

そう言ってきた。



「ミラナは美人だから、
たくさん貴族から求婚されていたのに
全部跳ね除けちゃうなんてさ。
衣食住には困らないのに、少し勿体無いよ」

「戦士になると飢えなくて済むが、
命懸けの仕事だしなぁ…」

「そうだね…金持ちと結婚した方が、
楽なのかもしれないねぇ…」




確かに、貴族と結婚して

ドレスを着て美味しい食事を食べて

優雅な鳥籠の中の暮らしをする子はいる。


でも、私は………



「でも、私は、命懸けだろうが、
好きなやつとこーやって
一緒にいられる方が好きだよっ」







< 10 / 95 >

この作品をシェア

pagetop