「記憶」






そして、午後の授業を終え、

自分の席である一番前の席に座る。




ガヤガヤとする中、

扉が開いて新任の男が入ってきた。



男の姿を見て、

クラスメイト達は徐々に座っていく。



女子達はそわそわしながら座っており、

私はふと、手元から視線を離し

男の方を見る。


すると、パチリと目が合った。




「…ッ!」




小さな詰まった声を上げたかと思えば

驚いた顔をして男はフリーズ……


固まった男の手から

生徒に配る予定であっただろうプリントが

バサバサ…ッと床に落ちる。



男は私を驚いた顔をして見て

ゆっくりと……




「ミラナ……」




と口にした。




周りも前を見つめて、

何事かと教室中が静かになる。





ミラナ………?




ふと、夢の内容が頭を過ぎり

私は眉間にしわを寄せる。






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