「記憶」
落ちたプリントを拾い集める先生を見て、
自分の足元にも
プリントが落ちているのに気が付き
私も席を立ってプリントを拾う。
「はい、先生」
「ああ…悪い助かる」
にっこり笑ってプリントを渡すと、
先生がそう言った。
ん?……あれ?
これ、前にもあった気がする。
プリントを受け取ると、
先ほどの事が何もなかったかのように
淡々と話をする先生。
あ、なんだかこの光景も……?
そんな事を考えて、うーんとその場に
しゃがみ込んだまま考えていると
「雅、はやく座れ」と
隣の席の拓馬に言われてしまったので
渋々椅子へと戻る。