「記憶」
ただ…なんとなくだけど、
先生は……不思議な人だと思った。
…………
ホームルームを終え、
拓馬と翔と共に下校する。
「うあー、腹減った」
「拓馬はよく食べるのに全然太らないね」
「私もそれは思う!ずるい!」
そんな事をいいながら歩いていて…
ふと、視線を感じたので
校舎の方へ目を向ける。
すると校舎の二階、
窓から新任の紫月先生が見えた。
およ?と思ったが、
彼はこっち…つまり
私を見ている気がした。
見間違いかもしれないけれど、
にこりと微笑んで
「さよなら」の意をこめて軽く頭を下げた。
「雅ー、いくぞー?」
「あ、はーい!」
二人に呼ばれ、
私は駆け足で彼らの元へ向かう。