「記憶」
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風が吹いた。
青い空と葉に音色を響かせて。
そして、パサパサ…っと
机の上から資料が床へと落ちる。
俺はそれに気付いて
珈琲を飲もうと口元に運んでいた手を止める。
「チッ」
面倒臭えな…と思いながら
床にしゃがみ、一枚一枚手にとって拾う。
するとだ。
「はい、隊長」
女の声がして、目の前に
書類の束を差し出された。
顔を上げると、
床に俺と同じようにしゃがみ込み
にっこりと微笑む、
美しい黒髪を持つ象牙色の肌の
天女と見間違いそうな女がいた。