「記憶」
すると隊長は、
チラリと一瞬、私に視線を向け
ゆっくり口を開く。
「しなくていい」
「っ!何故…?」
このままじゃ…っ焦る気持ちを
隊長に伝えようと大きく口を開いた時
背後からおぞましい叫び声が聞こえて
地面が大きく揺れた。
バッと後ろを向くと、
心臓を抉り出され倒れるキルドが目に写った。
「………っ」
「ミラナ…お前はもっと仲間を信じろ」
静かな声でそう隊長は私に告げると
「行くぞ」と言って
更に馬を早く走らせる。
仲間を……信じろ………
先程、自分がキルドを倒した時に着いた
頬の血を袖で拭い、
「はい!」と力強く返事をした。