「記憶」
バアァ…ン!
大きな音を立てて乱暴に
職員室のドアを開けると
驚いた顔の先生達と目が合う。
「ちょ、貴方…そんな乱暴に…
用があるならここで…ってちょっと!」
ごめん、でも今それどころじゃないんだ
と心で呟きながら
怒るおばさん教師を無視し、
目をキョロキョロっと動かして
紫月先生を見つけると
一直線にそちらへ向かう。
珈琲を飲んでいる先生の腕を
ガシッと掴む。
先生は戸惑うでもなく、
至っていつもと同じ
冷静な表情で私を見ていた。
「ちょっと来てください。
凄く、急ぎの要件です」
とにかく来てもらいたくて、
私はほぼ先生の返事を聞かずに
外へ、腕を引っ張った。