「記憶」
「夢…なんですが、
私はキルドという人を食べる化け物と
戦う戦士で…」
「…SFだな」
「はい。拓馬と翔に似た人が出て来たり…
夢の中の私は“ミラナ”っていう名前なんです」
「…………」
先生が珈琲を飲んで、
私を話をゆっくり聞きだす。
「まぁ、あの…グロいんですよね、結構。
血の雨を浴びてる感じのもありました」
「…そりゃあ、吐き気がするな」
「そう、段々…感触や臭いも
はっきりしてくるんです」
一呼吸置いて、目を少し伏せ
地に咲く花を見つめる。
「…で、先生に似た人も出てくるんです」
「…………」
「いつも夢の終わりは決まっていて、
それが日に日に鮮明になっていってて」
クシャ…ッと先生が握る
パンのビニール袋が音を立てた。