「記憶」
ああ…私はあざといな。
そう思った。
不確かだと言っておきながら、
この人は何か絶対知っていると
確信を持って話した。
案の定、彼は動揺した。
瞳孔が微かに動き、
声を荒あげて私の言葉を制した。
「…………」
「…………」
先生……貴方は何を知っているの?
夢とは、
その人物の欲望や
未来予知なんて事を言われているが
本来は…睡眠中に起こる
ただの情報処理に過ぎないもの。
つまり、なんの意味もないものなのだ。
だから……
夢なんて気にもした事がなかった。
だけど、この夢は違う気がするんだ。
記憶というならば、
これは過去の記憶なのでは?
過去の、私と違う、
知らない私の記憶なのではないか?