「記憶」
「……?」
切ない…?どうして?
不思議だ。
先生となんて、
学校という括りで繋がっているだけで
殆ど接点がないのに。
殆ど、関わりがないのに……
なんで…
こんなに苦しいの……?
家族や拓馬や翔が
悲しげな顔をしている様に、
先生の悲しそうな表情は
同じくらい辛くなった。
「…ああ、もう昼休み終わるな。
じゃあ俺は…」
「……先生」
聞こえるか分からない小さな声で呼んだ。
だけど、先生はちゃんと
足を止めてこちらを向いた。
「…そんなに、悲しまないで」
「……!」
先生も驚いたけど、私も少し驚いた。
先生を好きなんて思った事がない。
他の女子生徒達が騒ぐ様に
容姿端麗だとは思うが特にそれ以上の感想はなく、
教師と生徒という関係以外の
気持ちを抱いた事がない。
けど、言わずにはいられなかった。