「記憶」
Part4*永遠の恋心
今日……橘花に言われた。
“キルドとは何か”……と。
気付いてはいたんだ。
あいつの俺に対する視線や、
テスト用紙に描かれた落書き、
あの寝不足って顔して悩んだ表情…
あいつが、
“何か思い出している”という事に。
だけど、完全に
思い出している様でなかったから
「忘れろ」と言った。
“前に”あれだけ辛い思いをしてたんだ。
できる事なら、
思い出さず過去の記憶に囚われないように
忘れてしまえと思った。
「………」
心の中に、
あいつの顔ばかりが詰まってくる。
元々美形だったあいつの顔は
戦場に立たなくなって
薄っすらと化粧をしているのか余計に美しく
明るい性格は昔から変わっていなかった。
「………やべぇな」
胸が苦しくなった。
愛しさと、忘れられている悲しみで。
軽く目を閉じて
ゆっくり空気を吸った。
ミラナを想い浮かべて……