「記憶」
「やーでも、悟さんのいきなりのお誘い
なんだか嬉しいなー」
ふわふわっとした
雰囲気を発して微笑む彼女に
俺は薄ら笑いを向ける。
「んで、話って…?」
丸い大きな目をこちらに向け
小首を傾げてくる優香。
そんな小さな彼女を見下ろすように、
優香の前に立ち静かに口を開いた。
「別れよう」
……と。
「え………?」
黒を基調とした殺風景な部屋に
優香の高く小さな声が響いた。
「え…?悟さん?今なんて……」
「別れよう。…そう言った」
優香の瞳が大きく揺れる。
表情に焦りが浮かぶ。