「記憶」
悪い。それしか言えなかった。
過去の記憶を持って転生した俺は、
いつまでも何処に居るかも分からない
会えるかも分からない
記憶の中のミラナだけを愛して
この歳まで生きてきた。
付き合ってきた女は平均よりは多いが、
どれだけ美しい女でも
どれだけ気立ての良い女でも、
好きになった事なんてなかった。
むしろ、ミラナと比べてみれば
全員がボヤけて見える程。
俺はあいつに溺れてる。
「今更…半年も一緒にいたのに、
私の事少しも見てくれなかったの…?」
目の前にいる優香は泣いていた。
こいつはモテる。
けど、ずっと一途に俺を選んで
全ての告白を跳ね除け
浮気すら一度もしなかった。
だから……また、申し訳なかった。