「記憶」
あれだけ綺麗なら
さぞかし色んな男が寄ってきただろう。
もし、彼女で下卑た妄想や
馴れ馴れしく触る男共がいるようならば、
全員どう罰を与えてやろうか…
なんて思っていたが
彼女の隣には前と同じように
幼馴染である二人がいた。
今の名は、工藤拓馬と隅田翔と言うらしく
彼らには少しも前世の記憶はないようだった。
だから少し、安心した。
よかった、あいつの支えが
ちゃんといたんだな…と。
「…………」
思い出して欲しいが、
それ同様に思い出して欲しくない。
過去の記憶は綺麗な物ではない。
今の世と違い…
ましてや、俺たちは戦士として戦い
死んだ。
苦しいものだ。
前世であいつは…ミラナは、
目の前で両親をキルドに殺され
仲間を、部下を、殺されたのだから。