「記憶」






あれだけ綺麗なら

さぞかし色んな男が寄ってきただろう。




もし、彼女で下卑た妄想や

馴れ馴れしく触る男共がいるようならば、

全員どう罰を与えてやろうか…


なんて思っていたが

彼女の隣には前と同じように

幼馴染である二人がいた。





今の名は、工藤拓馬と隅田翔と言うらしく

彼らには少しも前世の記憶はないようだった。




だから少し、安心した。



よかった、あいつの支えが

ちゃんといたんだな…と。





「…………」





思い出して欲しいが、

それ同様に思い出して欲しくない。




過去の記憶は綺麗な物ではない。



今の世と違い…


ましてや、俺たちは戦士として戦い

死んだ。




苦しいものだ。



前世であいつは…ミラナは、

目の前で両親をキルドに殺され

仲間を、部下を、殺されたのだから。







< 48 / 95 >

この作品をシェア

pagetop