「記憶」






気分転換でもしようと、

答え合わせを終え職員室を出て

見回りがてら校舎を歩く。





「…………」




穏やかだな、そう思った。



以前は特別班の隊長をしていた。


だから、こんなに落ち着いて

空を見上げた事がなかった気がする。




肌に心地良い涼しい風が頬を撫で

淡い青色の空を見つめ目を細める。




最近寝不足だったからな…

居眠りでもしてしまおうか


そんな考えが脳裏に芽生えた時




「あの」




男の、いや、男と言うには

まだ幼さを残す声の持ち主が

少し緊張しながら俺に話しかけてきた。









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