「記憶」





「…いや、先生、
貴方は雅にとってどういう存在ですか?」




疑問の目を、向けられる。



ああ…思うよな。


あいつは…橘花は、

人当たりの良い明るい性格だけど

なかなか他人に心を開かないもんな。



前世の記憶がなくとも、

それをお前は知っているんだろう?



だから、俺と橘花の関係が

気にもなるよな。



どういう関係かと聞かれて、

以前のように「恋人」と言えたらいいのに。




……まず、生徒に愛を言うなど…


しかも、俺はミラナを愛してる。



それなのに橘花と

付き合うのは不誠実極まりない。




姿形は同じでも、魂が同じでも、

同じ人間ではないのだから。





「ただの…教師と生徒の間柄だ」




自分で言った言葉が少し、痛かった。

彼女と…あまりにも距離が遠くて。







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