「記憶」






工藤が去った後、

俺は静かに目を閉じた。





…悩みを解消してやりたいところだが、

俺にもどうするべきか分からねぇんだよ。


もし、橘花に俺の記憶全て…

つまり、夢の内容の事を話してやっても

それで何が変わるってんだ?




俺が全て話して、

何かをきっかけに全て思い出し

ミラナの記憶に

橘花が飲まれちまうかもしれねぇ。



反対に、何も思い出さず、

夢を見る事もなくなるかもしれない。





俺は記憶を持っていても持っていなくとも、

ミラナに惚れ、知っていくうちに

橘花に惚れるものだと思う。


あいつの芯にあるモノが好きなのだから。

何度生まれ変わろうが、

きっと俺はあいつに惚れる。




でも……






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