「記憶」





そして、チャッと左手を差し出して

隊長を見つめる。



すると、私の意図を察したのか

左手の薬指に指輪がはめられる。


サイズが丁度で、

控えめで可愛らしいデザインの指輪だ。





「えへへー、明日になったら、
みんなに自慢します」

「ああ…」

「ハッ!後輩にも見られる!て、照れる!」

「婚約したくらいでお前の威厳は
なくなんねぇから…照れるな」




指輪を眺めていると頭を撫でられ

それに嬉しくなって

隊長の方を向くとキスされた。




「戦士が恋なんてするもんじゃない。
…って、以前は思ってたけれど」

「…………」

「貴方という大切な人がいる方が
私は強くなれた気がする。
…それに、すごく幸せだ」

「…俺もだ」




再度キスをされ、

隊長の体に手を回す。






愛しさと幸福感に包まれ

その夜は眠った。






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