「記憶」
「ミラナさん!キルドが迫っています!」
私の後ろにいた
ランディが声を荒あげる。
その隣にいたセシルに至っては
目に涙を溜めている。
周りを見渡すが……
皆、この窮地に絶望を抱き
半ば諦め掛けていた。
そんな中、
「うあああ!!」
目の前で、キルドにつまみ上げられる男。
ハッとしてそちらに目を向けると、
後輩であった確かフランだ。
助けなくては、と、
私は剣を一層強く握り、
走っているスピードを速める。
「あ…あぁ…」
「フラン!今助ける!」
叫ぶと、フランがこちらを見る。
「あ、み、ミラナさん…っ!」
「ふんッ!」
地面をガッ!と蹴り上げ
キルドの心臓に刃を突き刺……すその直前
大量の血が、視界に映った。