「記憶」
フランの死を…仲間の死を悔やみながら
私は戦火の中を走り続ける。
仲間達の死した体を横切って
足を止めずに、涙を耐え、
諦めてはいけないと自分に言い聞かせ、
必死に必死に
すると、だ。
いきなり背後から気配を感じた。
しまった、油断した、
なんて考えていると
グサッと何かが音を立て
いきなり激しい痛みに襲われた。
「………ッ?」
口から、大量の赤が吹き出した。
赤…?これは、私の血だ。
カラン…ッと乾いた音がして
手から剣が地へ滑り落ちる。
恐る恐る視線を下へ向けると、
自分の腹に鋭い、酷く尖った
大きな白いモノが突き刺さっていた。
そして、グッと何かに背中を押され
腹に刺さったものが
グチュリ…ッと抜けて
私は何も出来ず倒れた。