「記憶」
レオンは私を抱き締め、
珍しく大声を上げた。
「おい、ミラナ!意識はあるか?!」
「…………」
あれ…可笑しいな、
声が、でない……
「……ッ、クソ」
レオン隊長が、私の血だらけの腹を見て
舌打ちをする。
「なんで、なんで怪我してやがる!」
いつもより眉間にしわを寄せ、
焦った声色の彼は私を叱りつけた。
ああ、そんなにしわを寄せちゃ、
眉間に線が入っちゃうよ……
なんて考えながら、
蚊の様な小さな息をゆっくり繰り返す。
やはり私は、ここまでのようで、
段々、心臓の音が小さくなっている。
自分の死ぬ時は分かると聞いた事があるが、
あながち間違いじゃないようだ。