「記憶」
Part6*蘇る記憶
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思い出した。
思い出したんだ。全て。
あれは夢なんかじゃない。
あれは妄想なんかじゃない。
あれは、現実だ。
紛れもなく、本当にあった世界。
私は校舎を走る。
赤い夕日に染まる空を背に
私は目的の人物を探して。
そして、三階の廊下で見つけた。
彼の、背中。
「待って…!」
「……?」
声をかけると、振りかえる男。
はぁっはぁっと
盛大に息を切らす私を見て、
彼は少し驚いていた。
「……どうした、橘花。早く帰……」
「全て、思い出しました…!」
「………!」
そう言うと、彼は目を見開いた。