「記憶」
「たいちょ……?」
「…ミラ…ナ…」
レオンが、私の名を呼んだ。
ハッとして顔を上へ向けると
そこには苦笑いを浮かべた彼が
私の髪を優しく撫でた。
「レオン……?」
「もう、全部思い出しちまったんだな」
優しい声の彼。
やはりあの世界は、
嘘なんかじゃない。
そう告げられると、
この世界が夢だという疑問がまた浮かぶ。
状況にドキマギしながら手を泳がせていると
レオンは私を抱き締めながら
静かに確かに言葉を言う。
「あの世界も現実だが、
これは、この世界は夢じゃない」
「…な……そんな、」
腕を払って教室を出ようとすれば、
更に強い力で抱き締められる。
「お前はまた…っ、俺を置いていくつもりか」
「置いていくって、そんな……」