「記憶」






戦ってきた。

そして私は死んだ。彼を置いて。



けど、今私達は出会えた。



今彼が、私の涙を拭った。

よかった、嬉しい。




「…ところで、この世界が現実として
私と貴方は先生と生徒という立場ですが…」

「ああ」

「見られたら、ヤバくないですか?」




今、私達は抱き合っている。


しかも教室でスーツ姿の若い男教師と

制服の少女が。


これはヤバイだろう。ハタから見れば。




「そう…だな」

「一旦離れますね」




ひょいっと体を離す。


少し名残惜しいのか、

彼の腕が私の方に向いている。


なんだか、少し可愛いと思った。





「レオン隊長」

「呼び捨てでいい」

「…では、レオン。一つお願いがあります」

「なんだ?」

「海が、見たいです」








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