「記憶」






「それと…指輪も買ってくる」

「…!」

「なんだ?嫌か?」

「だって…貴方は、高価な物を買ってくる。
安くても、ただの紐でも、
貴方に貰ったら大切な物になるのに…」

「それじゃ俺の気が済まない」




もう…と心の中で溜息を吐きつつ、

実は嬉しかったりする。




「連絡…しますね」

「ああ」

「……じゃあ、帰ります」

「送ろうか?」

「ふふ、大丈夫です」




にこりと微笑んで

「海、近いうちに見に行きましょうね」

と言い静かに教室を出てい



………く、前に

彼の手の甲へとキスを落とす。




「手の甲へのキスは“親愛”の意。
…親愛なる隊長様」

「なら、」




ちゅ




「唇へのキスは“愛情”だ。
次からは唇に、な」





不敵な笑みで笑うレオン。

不意打ちで、思っても見なかった展開で

顔を真っ赤に染め上げる私。



…………くそう、やり返されてしまった。






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