「記憶」





ああ、夢だ。




頭の中を駆け巡る、

断片的な記憶が脳裏を過る。




今日みた、怖い夢が





「もー、ミラナは幸せそうだなぁ」

微笑む女性



「これより、作戦を決行する」

叫ぶ団長



「おい、こっちを見ろ」

睨む彼



「せ、先輩!無茶しないで下さいっ!」

焦る彼らと彼女ら



「死ぬな…ッ、ミラナ…!」

泣き叫ぶ、彼





「う…ぁ…ッ」



頭が痛い。割れそうだ。

痛い。痛い痛い痛い痛い。



頭を抱えて膝を着く。




私の異変に気付いたのか、

人を掻き分けて拓馬と翔が

こちらにやってくる。




「おい、雅!しっかりしろ!」

「どうしたの、雅!誰か、先生を…ッ」




崩れ落ちる体を拓馬が支え、

翔が背中をさする。





「痛…ッぅ……ぁッ」




だめだ、

痛い。




周りが円になっていく。



視界が霞んで、声が遠ざかって

もう…だ……め…………







< 9 / 95 >

この作品をシェア

pagetop