溺愛系と天然系が恋しました!
顔を赤くしながら俯こうとしたんだけど、
あまりの満員ぶりにそれすら出来ない。
車内は暖房がガンガンにきいていて、
額に小汗をかいてしまう。
――ガタン…ゴトン…ガタン…ゴトン…
身体を揺らされる度きーち先輩が引き寄せてくれたけど、あまりの至近距離に額の小汗を見られるんじゃないかって、気が気じゃなかった。
それに、両腕に抱えたロールパンが潰れてしまわないかって気になって仕方が無い。
「はぁ・・・せっかくのパン潰れちゃうよ・・・。」
そう溜息をつきながらあたしが呟いたら、きーち先輩はあたしの口を左手で塞ぎ、あたしの耳元に顔を近づけながら囁いたんだ。
「今、・・・そういう事、言わないで。」
「えっと・・・はい。」
もしかして、
こういう密集した場所で話されるのが嫌なのかな?
そう思いながらきーち先輩に返事をしつつ見上げると、
何故かきーち先輩は顔を真っ赤にして目を泳がせていたんだ・・・。